なぜイメージ通りにならない?編曲で悩みがちな5つのポイントと具体的な解決方法

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編曲とは簡単に言えば「メロディーに対して伴奏をつける作業のこと」です。

DTMの中でも最も華やかで楽しい作業の1つと言えますが、編曲ではそのメロディーをどういったジャンルにするか、どういった雰囲気を持たせるかなど、選択肢や必要になる知識がとても多く、楽しいのと同じくらい悩ましい作業とも言えます。

特に悩ましい部分は「完成後に思ってたイメージと離れてしまう」「楽器の構成の仕方やフレーズの構成の仕方が難しい」という部分ではないでしょうか!

皆さんが「目指している好きな楽曲」や「市販の楽曲」の様な感じにならないのには多くの方がが陥りがちな「5つの原因」があるからなんです。

ですので、本記事では編曲がイメージ通りにならない原因5選と、今日からでも実践できる具体的な解決策を実際の音源を確認しながら、セットでお届けします!

どんな楽曲でも使用するギターとコーラス(ハモリ)ですが「バッキングギターは2本にして左右に配置する」「ハモリも左右に配置する」という解説を見たことがあるかと思います。こういった解説を見て、トラックを複製して左右を作業をしても「なんか広がった感じはあるけど、イメージとは違うな」と感じたことはないでしょうか?

それもそのはずで、こういった解説はとても「惜しい」状態なんです。実は、全く同じ波形の音声ファイルを左右に振っても、人間の脳はそれを「1つのセンターの音」として認識してしまうため、皆さんが想像しているようなワイド感を出すことができません。

正解は「コピーをして左右に配置する」のではなく「同じフレーズを、もう一度新しく演奏・録音した別トラックを2本用意して、左右に配置する」ということです。

この様に同じリズムやフレーズの音源を重ねて録音することを「ダブリング」と呼ぶのですが、ダブリングは音を広げる効果以外にも、音を太くする効果があります。ダブリングの技術はギターだけでなく、サビのメインボーカルや、楽曲中のコーラス・合いの手にも使用することがありますので絶対に覚えておきましょう!

言葉だけでは伝わりづらいと思いますので、実際に「1本の演奏をコピーして左右に広げた音源」と「ダブリングをして左右に広げた音源」を聴き比べてみましょう!

①:1つのデータをコピーして左右に広げた音源

コピーペーストでLR100にパンを振った音源

②:ダブリングをして左右に広げた音源

ダブリングでLR100にパンを振った音源

どうでしたでしょうか?ダブリングをした音源の方が、コピーペーストしたものより劇的にワイド感が出ていると一発で感じ取ることができたかと思います!

多くの場合、この作業を行っただけでも印象が劇的に変わって聴こえますので、まだ行っていない方は是非すぐに行ってみてください!

とは言っても「実際にギターを演奏したり・マイクで歌を録音できる人は簡単にできると思うけど、打ち込みでは時間がかかりすぎて難しいよ」と思う方もいらっしゃると思います。そういう場合は「ダブリングの効果を再現できるエフェクトプラグイン」を使用することで簡単に解決できます。

ダブリングを再現するエフェクトは、1つのトラックしかなくても自動で音を揺らして左右に心地よく広げてくれるため、簡単に先程の音源の様な劇的に変わった!と言えるワイド感を再現することができますので、まだ使用したことのない方は、ぜひ試してみてください!

ストリングスやブラスは、どの楽曲でも必ず使用する楽器ではありませんが「ポップス」を作る上では必ずと言っても過言では無い程、必要になってきます。

ですが、ストリングスやブラスのフレージングは「奏法や編成の仕方」等がピアノやギター・ベースよりも遥かに複雑で、プロの中でも「専門家」に頼る方も少なくないくらい難しい部分の1つです。

ですので、今回は手軽にできるストリングス・ブラスのアレンジ例を製作してきましたので、音源確認後にポイントを確認していきます。では早速ですが、音源を聴いていきましょう!

ストリングス・ブラスのアレンジ例

多くの解説は「メロディーラインは交互に配置し、伴奏はメロディーラインを演奏していない方で行う」という解説がされているかと思いますが、これも「惜しい」解説の1つです。

なぜなら、実際のポップスにおけるバイオリンセクション(バイオリン・ビオラ・チェロ)やブラスセクション(トランペット・トロンボーン)は、すべての楽器が一斉にメロディーを弾くわけではなく、セクション内で同時に伴奏やハモリも担当しているからです。

先ほどの音源の例でも、前半はストリングスがメロディーを担当しつつ、その裏では弦を指で弾く「ピッチカート」という奏法で伴奏も同時に鳴っていたかと思います。不自然にならないフレージングを作るには、このように同じセクション内でも「メロディー・ハモリ・ちょっとした伴奏」を、それぞれの楽器の「本来の役割」に合わせて作っていくことが重要です。

  • ストリングスセクションの得意分野: 比較的落ち着きのある、音価が長いメロディーラインが得意です。また、伴奏の面では、ストリングスならではの重厚さを活かしたコード進行を滑らかに演奏するのに向いています。
  • ブラスセクションの得意分野: アタック感が強く華やかで、音が前に抜けてくるのが特徴です。そのため、曲のキメの部分や、ここぞという派手なセクションでメロディーを担当すると真価を発揮します。伴奏の面では、リズムを細かく刻んでグルーヴを出すフレーズが得意です。

★応用テクニック: ブラスセクションの細かい刻み伴奏と、ストリングスのピッチカートを組み合わせると、ポップスに最適な「よりリズム感のある伴奏」を作ることができます。

このように、どちらの楽器に何をさせるかを適当に決めるのではなく「音楽的な流れの中で、どちらに主役を任せるか」を明確にコントロールすることが、ストリングス・ブラスセクションを上手に使いこなすコツの1つです!

ストリングス・ブラスセクションには、このくらいの人数で組むとポイント①の様なしっかりしたフレージングができるよ!という「編成人数」があります。

先程の例の音源では「ストリングス・ブラスセクション」という「全部の楽器が同時に鳴っているよ」という簡易的な音源を使用していますが、基本的にしっかりしたフレージングを行うためには「編成の人数分、しっかり打ち込みを行ってあげること」が基本的になってきます。

編成の幅は楽曲によって大きく異なりますが、このくらいを目安に楽曲に取り込んであげるとクオリティーが段違いになります。

ストリングスセクションの編成例

編成パターン人数内訳(1st-2nd-Va-Vc-Cb)トータルの人数特徴・使いどころ
① 大編成8 - 6 - 4 - 4 - 2 (または 10-8-6-6-4)24人〜34人王道のバラードや「音の壁」を感じさせたいようなアニソン、映画劇伴などのような、圧倒的クオリティーを感じさせたいような際に使う編成
② 中編成6 - 4 - 2 - 2 (コントラバスなしのパターンもある)14人前後J-POPで使われることの多い一般的な編成。派手さもありつつ、音が濁らずにポップスの歌を邪魔しない絶妙な厚みを生み出すことができます。
③ 小編成1 - 1 - 1 - 14人アコースティックな曲や、バラード調のロックで鳴らしたい時に使用。1人ずつのニュアンスがクッキリ見せることができるのが特徴です。

ブラスセクションの編成例

編成パターン楽器の内訳特徴・使いどころ
① 3人編成トランペット ×1、サックス ×1、トロンボーン ×1多くのジャンルで使用できる基本の編成です。 高・中・低音域が1人ずつ揃うため、和音で使用する場合も帯域をフラットにしやすく、一番スッキリ抜けてきます。
② 4人編成トランペット ×2、サックス ×1、トロンボーン ×1トランペットを2人にすることで、高音域の「キメ」のパワーが倍増します。ポップスやアニソンなどで多く使用されています。
③ 5人編成トランペット ×2、サックス ×2(アルト・テナー)、トロンボーン ×1複雑なコードもしっかり鳴らすことができる最も多い編成です。派手さや豪華さを出したいときに使う、ポップスの中でも使用頻度の高い人数の編成です。

人数を見ると「意外と多くて大変だな....」と感じると思いますが、先程も記載した通り「ストリングス・ブラスセクションの編曲」はプロの中でも専門性の高い部類です。

打ち込みで行うには、これらの人数を各得意分野、それに合わせた奏法でメロディーや伴奏を組む必要がありますので、大変ではありますが地道に打ち込みを行っていきましょう!

因みに.....
プロの間ではどうしているの?と思うかもしれませんが、プロは多くの場合「生演奏」を楽団に頼むことが多いので、デモの段階ではフルの編成ではなく簡単にフレーズを打ち込んでいるだけの場合もあります。もし、楽団に演奏をお願いすることができる場合であれば、このような編成で打ち込みを行う必要は、必ずしもありません。

オートメーションとは「オーディオデータに対して、音量のダイナミクスやエフェクト量などを細かく設定できる機能」のことです。

似たような機能に「ベロシティー」というのがありますが、ベロシティーは「打ち込んだ音1つ1つの音量をどうするか」という機能であり、オートメーションとは別物です。

オートメーションはしっかり描くことができれば「音の立ち上がりやリリースのニュアンス」「クレシエンド・デクレシエンド」なども「音のつながりとして」管理できるため、よりリアルな演奏感を再現することができます。

先程の人数のオートメーションを書くのは大変ですが、DAWの仕様によっては、オートメーションの設定をコピー&ペーストなどもできますので、ストリングス・ブラスセクションをしっかり聴かせたい場合は、根気強く書き込んでいきましょう!

オートメーションはDAWの鉛筆ツールで書くことできますが、フェーダーに機能をアサインすることによって、フェーダーの上げ下げでも書き込むことができるようになりますので、そちらの機能もおすすめです!

自分のイメージしている音を打ち込むことができたのに、楽曲全体を再生したときに「なんか全体像がスカスカに聴こえる」という体験をしたことがあるのではないでしょうか?

この原因は、多くの場合「周波数帯がフラットに鳴っていないから」という場合が多いです。

例えば「歌・ギター・シンセサイザー・ベース・ピアノ」などで楽曲を作り、隠し味的にグロッケンなどをメロディーに重ねる、というアレンジを行う方は多いと思います。しかしこの時、派手で目立ちやすい「高音」や「低音」ばかりに意識が向いてしまい、肝心な「中音域」がガラ空きになってしまっているケースが多々あります。

中音域は、無いとスカスカに聴こえてしまう1番の原因と言っても過言でありませんが、派手に聴こえる「高音や低音」と違い、縁の下の力持ちのため、見過ごしてしまっているケースが多々あります。ですので、例えば

  • シンセのパットの音色で、中音域で全音符のコードを鳴らして聴こえないくらいにうっすら混ぜてみる
  • アコギやオルガンなどをで中音域を補ってみる
  • コンガ・ボンゴ・タムなどの中音域帯のパーカッションを採用してみる

など、中音域を補う方法は様々ありますので、オリジナルの方法でも構いませんが、是非この部分を補ってあげてください!

よくネットの解説で「中音域はボーカルの邪魔になるから、伴奏はあらかじめ余白を作っておこう」という言葉を目にするかと思います。

もちろん間違いではないのですが、最初からこれを意識しすぎると、確実にスカスカなアレンジになると言っても過言ではありません。 ぶつかった帯域は、後からのミックスで上手に空けることができます。ですので、アレンジの段階では「少しやりすぎかな?」と思うくらい、中音域もしっかり埋める意識を持ってみましょう。もし、最終的に通して確認したい際に、実際にやりすぎだった場合は、そのトラックを後からミュートすればOKです!

ただし、一点だけ注意があります。この「中音域を補う」というテクニックには例外もあります。 例えば、ヘヴィメタルやパンクロックなどの、いわゆる「ドンシャリ(低音と高音を強調し、中音をあえて削る質感)」が魅力のジャンルでは、中音域を埋めすぎると逆にジャンル特有のキレや激しさが損なわれ、違和感に繋がってしまいます。

ですので、自身が今作っている楽曲のジャンルの特性に合わせて、臨機応変に対応していきましょう!

EDMを製作しようとして、他の楽曲の音の質感やフレーズを真似してみた際に「似たようなフレーズは作れているけど、思っているほど派手にならない」という悩みを感じたことがあるのではないでしょうか?

その理由は、③の章でも解説した部分とも一部内容がかぶる部分もあるのですが、

  • 中音域がスカスカである
  • 音のレイヤーが考えられていない

この2つのどちらかである可能性が高いです。

EDMでは特に、楽器の種類を多く使っていないジャンルや楽曲もあるため「周波数帯」について考えられていない。と感じる方も多いかと思いますが、これは違います。

EDMで音数が少ない楽曲では、先程の悩みポイント③の章のように「中音域の出る楽器を直接入れる」だけではなく「倍音で中音域を補う」ということを行っているため、楽器の数が少なくても全体的に整って聴こえるようになっています。

倍音は、基音(鳴らした音)に加えて、同時に鳴っている別の周波数帯の音のことです。

例えば、ラ(440Hz)の音を鳴らしたとして思っていても、実は同時にその倍数の「880Hzのラ」や「1320Hzのミ」など沢山の音が鳴っています。この部分を調整することによって全体的に周波数をフラットに聴かせているのです。

多くの方の場合「音をレイヤーしていない」という場合が多いです。例えばですが、ベースには通常使うベースの他に「サブベース」というさらに低い音域で、同じフレーズを鳴らすベースをレイヤーしたりします。

その他にも、生音かシンセドラムか判断の付きにくい音色では、どちらもレイヤーして使用していたり、コードでバッキングを行うSAWの音色にも様々な音をレイヤーして独自の音色を生み出したりしています。

一見「曲のフレーズ構成は人間ができる範囲で行うのが普通なのに、そんなのってありなの?」と思うかもしれませんが、ありです。確かに少し前までは、主にギタ・ピアノ・ドラムなどでは「人間が演奏できない打ち込みはしない」ことが主流でしたが、そもそも、シンセサイザーを主体とするEDMは人工的な音楽のため「人間にできないことはしない」という自然的な考え方は持ち込まなくてもOKです。

レイヤーの他にも例えば、ボーカルにディストーションのエフェクトを掛けてみたり、ドラムにコーラスのエフェクトを掛けてみたり、なんでもありです。

この様に「なんでもあり」な部分において、EDMでは皆がそれぞれの音を求め「①の中音域を補う方法」や「②のレイヤーを考えていない」という部分をあらゆる方法で解決しようとします。その部分が、ご自身の楽曲と他の楽曲を比べた際に「なんかインパクトが出ないな」と思う大きな理由の一つです。

主にドラムセットなどでよくある悩みですが「フレーズは良いのに、なんか音がスカッとしていて前に抜けてこない」ということってありますよね。ドラムに限らず、ボーカルやその他の目立たせたい主役の楽器でも、こういった「抜け感」の悩みは頻繁に発生します。

そんな時に使える、プロも日常的に使っている「アタックを目立たせるための隠し味」をご存じでしょうか?

音量そのものを上げるのではなく、同じフレーズに「ある楽器」をほんの少し足す(レイヤーする)だけで、音の抜け感は劇的に変わります。まだ行っていなかった、知らなかったという方は是非試してみてください!

  • ボーカル:グロッケンorシロフォンを足す
  • スネア:ハンドクラップorタンバリンを足す
  • タム系:コンガorボンゴorカウベルを足す

この3パターンは、良く解説されているパターンではありますが、これを行うだけでも音の抜け感は格段に上がってきます。

なぜこれらの楽器を足すだけで、音が抜けて聴こえてくるかという理由ですが、これらの楽器に共通しているのは「音が鳴った一瞬のアタック成分(高音域の硬い音や破裂音)が非常に強い」という点にあります。

メインの楽器にこれらの音をうっすらと重ねることで、人間の耳には「主役の楽器のアタック(輪郭)がクッキリした」ように錯覚させることができるため、音量を無理に上げてミックスを崩すことなく、存在感だけを綺麗に引き出すことができる訳です。

このテクニックは、特に楽曲制作に慣れてきた頃に見逃し安いポイントですので「慣れてきたのになんで、音の抜け感がないんだろう」と思って際は、初心に戻り、真っ先に確認していただきたいポイントの1つでもあります!

今回は、DTMで「イメージ通りの編曲(アレンジ)にならない」と悩む方が、陥りがちな5つの原因とその具体的な解決策を解説してきました。

最後に、紹介した5つのポイントをもう一度振り返ってみましょう!

  1. ギター・コーラスのワイド感: コピペではなく「別テイクの録音(ダブリング)」や「専用プラグイン」で広げる。
  2. ストリングスとブラス: セクション内での役割分担を意識し、適切な「編成人数」と「オートメーション」でリアルさを出す。
  3. 全体のスカスカ感: 高音・低音だけでなく、シンセパッドやアコギなどで「中音域」をあえて過剰なくらい埋めてみる。
  4. EDMのインパクト不足: 人工的な音楽だからこそ「倍音補完」や自由な「レイヤー」を徹底する。
  5. メイン楽器の抜け感: ミックスに頼る前に「アタックが強い楽器」を隠し味として足してみる。

編曲は選択肢や必要な知識がとても多いため、一気にすべてを完璧にやろうとするとシンプルにとても大変です。プロの作曲家は簡単に制作しているように見えますが、修行時代に同じような悩みの解決を繰り返し、身に染みているため、問題を解決するための引き出しが多く、また、引き出しを開けるスピードが速いからこそ、簡単に制作しているように見えるだけです。

ですので、まずは「次の曲では中音域をいつもより厚くしてみよう」「スネアにクラップを重ねてみよう」といったように、できそうな部分から1つずつ試してみてください。その小さな引き出しの積み重ねこそが、あなたの楽曲を「市販のクオリティ」へと劇的に引き上げる最大の近道になります。

ぜひ今回のテクニックを取り入れて、あなたのイメージした通りの最高の楽曲を完成させてくださいね!

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