コンプは音を均一にするものじゃない!プロの「究極のコンプ活用術」を伝授!

プロ仕様のコンプレッサー(コンプ)活用術と設定のアイキャッチ画像
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コンプレッサーはミックスのエフェクトの中でも、最も効果が耳で分かりにくく、種類も豊富なため扱いに困るエフェクトですよね!

そのため、特に初心者の方は使い方を検索しながら作業することが多いと思うのですが、その際に「コンプは音量を均一にするもの」という解説に行き当たる方が多いはずです。ですが、その使い方を鵜呑みにした結果、完成した音源を聴きなおした際に、

  • 「狙った音が全然前に出てこない……」
  • 「他の部分は良いのに、よく分からないけど違和感がある」

という状態に陥ってはいませんか?

なぜそのような状態に陥るかというと、実はコンプは「音量を均一にするものではない」からです。

ここを正しく理解して作業していないと、直前のEQや直後のリバーブをどれだけ上手に使って各楽器同士を馴染ませたとしても、最終的に「コンプ感の強い、どこか不自然で違和感のある音源」になってしまいます。

本記事では、既存のコンプの説明にとらわれない「本当のコンプの使い方」を網羅した完全ガイドとして、コンプにお悩みの方に今日から実践できる解決策をお届けします!

コンプレッサーの解説でよく見かける「音を圧縮して均一にする」という説明は、決して間違っていませんが「ミックスにおけるコンプの使い方」という点では、少しニュアンスが変わってきます。ミックスにおけるコンプの本当の使い方は、

  • ①:最低音量と最高音量を設定する
  • ②:アタックの強さの管理をする
  • ③:余韻の長さの管理をする

この3点です。では、なぜ「音量を均一にする」という話が出てくるか気になりますよね?

「最低音量と最高音量を設定する」という項目において「最低音量と最高音量を同じ」にすることで「結果的に音量を均一にする」ことが可能になるため、そのような説明が起きるわけです。

また、コンプレッサーはミックス以外の部分だと実際のライブで「ベース」が使用することが多いエフェクトです。ベースはロックなどの勢いが必要な楽曲では、いかに均一な音量でテンポキープを行い、リズムを刻み切れるかが重要になってくるので、この部分も間違った使い方の説明を後押しする部分になってしまっています。

では、上記3点の本当の使い方という点において、実践ではどのように機能していくかを個別に解説していきます!

コンプレッサーの使い方3種類の内、最も重要になってくる点が、この「最低音量と最高音量を設定する」するという項目です。なぜ「音量を均一にしてはいけないのか」については「曲の構成」に関係していると言えます。

例えば「Aメロはかなり落ち着いているけど、サビが急に華やかで音量感の出る楽曲」を製作したとして、当然サビは大きな音量で鳴ってほしいわけです。ですが、音量を均一にしてしまうと、このAメロもサビも「全く同じ音量」になってしまいます。ですので、華やかにはなったんだけど「なんか音が抜けて聴こえない」という状態になってしまいます。

加えて「コンプ感が強い」というのもまた違和感の原因です。「コンプ感が強いってどういうこと?」という方のために、分かりやすい音源を製作してきましたので、実際に確認していきましょう!

①:コンプ感がちょうどいい音源

コンプ感がちょうどいい音源

②:コンプ感が強い音源

コンプ感が強い音源

①の「コンプ感がちょうどいい音源」の方は、最初のスネアの連符も強弱を感じられたかと思いますが、②の「コンプ感が強い音源」の方では「音量が均一」になり、最初の連符の強弱が全くなくなっていることが分かります。また、全体の音像としても「加工してるな」という感じがありますよね!

これが「コンプ感の強すぎる」という現象の正体です。この音源はドラム単体にコンプをかけた音源なので、圧倒的な違和感というものは少なかったかと思いますが、②の音源がドラムだけでなく楽曲の中に入っている楽器全部が同じような状態になっていれば「大きな違和感」に変わります。

ですので「コンプは音を均一にする」というニュアンスはミックスという観点においては良くないわけです。では、どのようにすれば綺麗に音量の最低と最高を設定できるかに関しては「レシオとスレッショルド」について詳しく知る必要がありますので、解説していきます!

レシオとスレッショルドは言葉だけをみると横文字で難しいですが、用語自体は、別の言葉にして考えると意外と単純なものです。具体的な違いは、

  • スレッショルド:この音量を超えたら
  • レシオ:この比率で圧迫する

ということです。これだけ見ると簡単ですが、難しいのはここからの計算式です。計算になりますので少し億劫かもしれませんが、とても重要な部分ですので最後まで確認してください!

まずスレッショルドですが、例えばスレッショルドを-8dbに設定して、そこに-6dbの音が入力された場合「マイナスの値は数字が小さいほど大きい」ので設定した値より2db大きな音が入力されていることになりますよね!この超過した2dbをレシオの値を参照して圧縮することになります。

レシオの計算方法は「スレッショルドを超えた音量÷レシオの値」です。例えば、先程の例の様に2db超過した音源があったとして、レシオを「2:1」に設定すると「2÷2=1」つまり、1dbに圧縮されます。レシオが「4:1」だった場合は「2÷4=0.25」なので超過した2dbは0.25dbまで圧迫されるという具合です。

先程の例では、スレッショルドの値が-8dbですから、ここに先程、超過して圧縮された1dbや0.25dbを足すことで、圧縮後の音量が算出できます。

つまり「スレッショルド-8dbで-6dbの音が入力された場合、レシオ2:1で圧縮する指示」を出した場合、実際の出力は-7dbになります!難しい部分ですが、音量の最高音量を決定するうえで最重要なことになりますので、必ず覚えてください!

因みにですが、最低音量に関してはこのような項目はなく「入力ゲイン」という「元の音量をどれくらいにするか」という項目だけで決めることができます!

先程の説明で、スレッショルドとレシオに関する内容はご理解いただけたかと思いますが「ではスレッショルドってどのくらいの値に置けばいいの?」と気になった方も多いと思います。そこで「スレッショルドの値を決めるコツ」をご紹介したいと思います!

前の章で、最低音量は元音をどのくらいの音量で入れるかという「入力ゲイン」によって決まる。説明しましたが、その最低音量を決めた後に「一番小さく演奏しているポイント」を探して、その音量を測定し、その音量より少し低い値でスレッショルドの値を入力します。

例えば、入力ゲイン(最低音量)を-10dbで設定した場合、スレッショルドは-12~-14dbくらいに設定するという感じです!文字だけだと、最低音量より低い値に設定することはできないでしょ?と思うかもしれませんが、ミックスは基本的にマイナスの値で作業することが多いため「マイナスの値は数字が大きいほど小さい」ことを顧慮すると、これが可能になります。

この様に設定すると、その楽器が出す「全ての音」が圧縮の対象になるため、その後、緩やかに2:1でかけるか、きつく16:1でかけるかなどを設定していきます。

コンプをかけるとどうしても音が圧縮されれしまうので、加工後に音量感が足りないと感じることがしばしばありますが、その場合はコンプの「出力ゲイン」で元の音量に近いところまで調整します。人間の耳は「音量が大きい方が良い音に感じる」という習性があるため、フェーダーで音量を調整してしまうと「コンプを外した時とかけている時」で音量が変わってしまい、正確な判断が付かなくなってしまうためです。

コンプレッサーはアタックタイムを呼ばれる項目を設定することで、発音時の一瞬の瞬間の音の立ち上がり方を管理することできます。

コンプの「アタックタイム」とは、音がコンプを通った際に「どのくらいの速度でコンプをかけるか」という機能になります。基本的にアタックタイムの「値が小さいほど早く」「値が大きいほど遅く」コンプがかかることになります。

アタックタイムを設定するメリットは「音をどれくらいタイトに聴かせたいか」「どのくらい音の立ち上げを早くしたいか」という点です。

ただ、言葉だけで説明されても「どのくらい違うの?」という点が分かりにくいかと思いますので画像を用意しましたので、視覚的にも違いを見ていきましょう!

なにもかけていない元の画像

コンプレッサーのアタックタイムを説明するための画像①
何もエフェクトをかけていない画像

アタックタイムが早い画像

コンプレッサーのアタックタイムを説明するための画像②
アタックタイムを早めに設定した画像

アタックタイムが遅い画像

コンプレッサーのアタックタイムを説明するための画像③
アタックタイムを遅めに設定した画像

一番左の画像はコンプをかける前の原音です。真ん中の「アタックタイムが早い画像」は、音が鳴った瞬間にコンプが作動し、発音時から圧縮されていることが分かります。

逆に、一番右の「アタックタイムが遅い画像」は、発音時の瞬間にコンプがかからないため、アタックの強さを維持できていることが分かりますね!因みにですが、元の画像よりもアタックが強い原因はいくつかありますが、この場合はアナログコンプを挿した時の挙動による問題と考えられますので、気にしないでください。

つまり、アタックタイムをあえて遅く設定してあげることによって、発音時の圧縮がなく、音がはっきり聞こえるようになるため、アンサンブルの中で聴いたときに「音の立ち上がりが早く、アタック感が強い、前に抜ける音」を作ることができるということです。

ですが基本的に、どのくらいのタイトさが必要か、どのくらい立ち上がりの早さが必要かは、楽曲やジャンルによって異なりますので、都度臨機応変に設定していきましょう!

コンプレッサーは音の圧縮という延長線上で「リリースタイム」という「コンプをどれだけ早く解除するか」という項目を設定することで、余韻の管理なども行うことが可能です。

リリースタイムは基本的には「値が小さい方がコンプを解除するスピードが速く」「値が大きい方がコンプを解除するスピードが遅く」なっています。

コンプで余韻を管理する真価は「グルーヴを調整できる」ことにあります。ただ、先程と同様言葉だけでは伝わりずらい部分ではありますので、筆者が用意した画像で効果を視覚的に確認していきましょう!

なにもかけていない元の画像

コンプレッサーのリリースタイムについての説明画像①
コンプをかけていない元の画像

リリースタイムを早く設定した画像

コンプレッサーのリリースタイムについての説明画像②
リリースタイムを早く設定した画像

リリースタイムを遅く設定した画像

コンプレッサーのリリースタイムについての説明画像③
リリースタイムを遅く設定した画像

先程と同様、一番左の画像はコンプをかけていない元の音源の画像です。

真ん中の「リリースタイムが早い画像」は音の「コア」と呼ばれる発音から減衰までの波形の太さを見ると、アタックが強く出た後にすぐに細くなっていることが分かります。逆に「リリースタイムが遅い画像」の方は減衰までの間で音が太く残っていることが分かります。

因みにですが、リリースタイムを早く設定した画像のアタック部分が大きのは先程と同様でアナログ機材の挙動の再現によるものですので、気にしないでください。

音が太く残るということは、最終的に音量を上げた際に「余韻が長く残って聴こえる」ということにつながります。空間系エフェクトのリバーブやディレイを付与することでその違いは顕著になってきます。

音のリリースが長い方が良いか、短い方が良いかも、その楽曲やジャンルによって変わってくるため、一概にこっちの方が良いと断言することはできませんので、都度臨機応変に対応していきましょう!

本記事では、コンプレッサーは「音量を均一にするもの」というこれまでの常識にとらわれず「本当の役割」について解説してきました。

  • ①:最低音量と最高音量を設定する
  • ②:アタックタイムで音の立ち上がりを管理する
  • ③:リリースタイムで余韻をコントロールする

この3つの視点を持つだけで、最終的なミックスの音の馴染み方が段違いに良くなり「なんか変な違和感がある」状態から脱却し「全体がしっかりまとまっても、ダイナミクスを抑えすぎない良いバランス」になります。

言葉や理屈だけで理解するのは難しいエフェクトだからこそ、今回ご紹介した「波形の変化」や「実際の音源の強弱」を何度も見聴きして、ぜひご自身のDAWでツマミを動かしながら耳を鍛えてみてください!

また、コンプは、楽曲やジャンルによって、その都度ベストな設定が変わる難しいとも、奥深いとも言えるエフェクトです。ですので「このジャンルだからこの数値」という正解はありません。だからこそ、目の前の音源に対して「いま、どのくらいのタイトさが必要か?」「どんなグルーヴに仕上げたいか?」をその都度把握し、臨機応変に設定していくスキルが重要になります。

最初は迷うことも多いかもしれませんが、この「3つの管理」の意識を持って触り続ければ、必ずコンプを使いこなせるようになりますので、今日から意識して作業に取り組んでみてください!

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